外出自粛中に聴いてほしいシリーズ⑦ V.A.『PRELUDE』
ヴィジュアル系のオムニバス、それは「闇鍋」と以前書いた覚えがあります。
今までは闇鍋の中でも比較的美味しくいただけるものを紹介してきました。
今回はまさに「闇」の鍋を紹介してみようと思います。
こちらです。
『PRELUDE』
(アーティスト名- 曲名)
1. Madeth gray'll -黒装束ノ調べ
2. AZALEA -ポルノグラフィ
3. Mist of Rouge -鎖縛
4. DESCRIBE -Silent Moon
5. オルゴール -Suicide...
6. NADIA -Tears Like Snow
7. Zephyr -久遠の月
8. ∀nti Feminism -Bad Boy ∀
9. Eze:quL -片翼の××日記
10. DAS:VASSER -症候群-シンドローム-
11. vellaDonna -SABOTAGE
12. Vice†risk -「ASK」
13. Due'le quartz -時計仕掛けの舞踏会
14. Syndrome -Sad Mask
誰もが一度は目にしたことがあるであろう関西最強のレーベル、Matinaに所属しているバンドを中心に集めたオムニバスアルバムです。
Matinaのオムニバスは既存曲の寄せ集め代表曲の集合みたいなオムニバスが多いのですが、今作は当時では新曲として聞けるものも多かったので今回チョイスしてみました。
1. Madeth gray'll -黒装束ノ調べ
トップバッターは日本を代表する伝説のコテ系究極キングオブゴッド最強バンド、Madeth gray'llのデモテープ収録楽曲の再録です。
この曲自体は解散時に出したベストアルバムにも収録されているのですが、なぜか逆再生バージョンなんですよね。
初期のSound Horizonかよ。
デモテープバージョンに比べて、シャウトのキレ、音質、演奏、アレンジ力がすべて向上しており、邪悪な雰囲気に振り切った最高の仕上がり。
このレーベルを象徴するかのような、まさにトップバッターにふさわしい神曲です。
もう購入金額(中古で1200円)を回収した気分。
2. AZALEA -ポルノグラフィ
現在Lucifer's undergroundでも活躍するヒナ氏がvo.を務めるAZALEA。
AZALEAと聞くと、↓を想像する方の方が多いと思いますが、
ラブライブ!サンシャインのユニットの方の読み方は「アゼリア」で、
ヴィジュアル系バンドの方は「アザリエ」です。
ここ、テストによく出るので覚えておくように。
曲としてはミドルテンポの歌謡っぽいアングラなナンバー。
黒夢のFeminismあたりのアルバム曲に入ってそう。
メロディは弱めですが、不思議とクセになる味わいがあります。
3. Mist of Rouge -鎖縛
のちにダウト、12012、Phantasmagoriaにそれぞれ加入するメンバーがやっていたコテ系バンドです。
サビがLa:sadie'sすぎるところはアレですが、ツタツタ発狂爆走暴れ曲なので、聴いていて謎の安心感があります。
ライブで10分ぐらい延々と演奏してそうな情景がありありと浮かんできます。
ザクザク刻むリフはよく聴くと意外とかっこいいです。
4. DESCRIBE -Silent Moon
2010年代に同名のバンドがいるLagnaの元メンバーがやっていて、のちにGARDENとかに繋がるバンドなのですが、名前だしても「ふ〜ん」って感じなので曲の感想を書きます。
イントロから高音をがんばって歌っているヘロヘロボーカルからスタート。
「うお〜(汗)」と半笑いで聴いていたら、急にピアノをフィーチャーした超メロディアス疾走イントロが始まり、あまりの”良さ”にひっくり返ってしまいますた。。。
ここまでダークな流れだったので、良すぎて感情が爆発しちゃう……
このオムニバスでしか聴けないので隠れすぎた名曲。超絶オススメです。
5. オルゴール -Suicide...
ドラムがD≒SIREの人工楽園ぐらい打ち込み感バリバリなのでかなりポンコツ感が滲み出てますが、ギターのフレーズはメロディアスながら、コテ系のハードなフォーマットに落とし込まれています。
見過ごせない短所が多いと同時に、見過ごせない長所も多い佳曲といった感じ。
6. NADIA -Tears Like Snow
このバンドの情報が全然出てこないので正直よく知りません。
2000年代に「Nadir」という紛らわしい名前のバンドがいるのでややこしいですね。
初期ラルクの影響モロ出しの浮遊感のあるストレートな白系楽曲で、このオムニバスの中でもかなり聴きやすいです。
7. Zephyr -久遠の月
こちらも白系。名前は「ゼフィール」と読みます。ゼファーじゃないんかい。
イントロから、
優勝!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
と叫んでしまうこと必至なメロディアス疾走ナンバー。
歌メロ、ギター、展開全てが叙情的すぎて涙が止まらない。
正直このオムニバスで一番好きな曲ですね。これ聴いて音源全部買いあさりましたもん。
Rayとか好きな人は絶対好みの楽曲なので必聴です。
8. ∀nti Feminism -Bad Boy ∀
THE DEAD P☆P STARSのKENZI氏がボーカルをしており、我らがKISAKI神もベースで参加しているセッションバンド。
パンキッシュに爆走する感じで、コテ系の暴れ曲とはまた違った味わいのアグレッシブ楽曲ですが、前の曲が良すぎて印象が薄いです正直。
9. Eze:quL -片翼の××日記
見た目が本っぽいからという理由でオムニバス以外ではデモテープを頑なにリリースし続けていたヤバイバンド、Eze:quL(エゼキュエル)
語り主体で、声にエフェクトをかけまくったかなり聴く人を選ぶ曲ですね。
どこまで世界観重視なのだという感じですが、世界観を技術不足で表現しきれていない感じを愛でるのもポンコツヴィジュアル系鑑賞の醍醐味。
10. DAS:VASSER -症候群-シンドローム-
先日も紹介させていただいたDAS:VASSERの楽曲。
この頃はまだコテ系のフォーマットをなぞる感じで、個性が出てないですね。
ボーカルが思ったより音痴じゃない安定しているので、拍子抜けしちゃうかも。
11. vellaDonna -SABOTAGE
90年代末期のヴィジュアル系にしては珍しく、HEAVY METALな楽曲。
音質がありえん悪いのも当時のメタルっぽい。
このオムニバスでは若干浮いてる感が否めませんが、演奏は比較的安定しており、リフも結構かっこいい。
展開も凝った作りになっているので、聞き応えがあって良いですね。
12. Vice†risk -「ASK」
リリースしたデモテープ三部作すべてにカップリング曲として入っていた楽曲を収録。
ほんまそういうとこやぞ!
楽曲はまあコテ系メロディアス疾走曲のフォーマット通りですが、ボーカルが初期の90年代ヴィジュアル系を彷彿とさせる声色なのが特徴的。
同時期だとNeiLのDaisuke氏のものが近い気がします。
13. Due'le quartz -時計仕掛けの舞踏会
Matina所属ってわけではないのですが、ゲスト参加のようですね。
Sakito氏のヴィジュアル系バンド界最強のポンコツボーカルはそこまで気にならないですが、いい意味でも悪い意味でも印象がやや薄い気がします。
もっと彼らの中ではアピールできる楽曲があったのでは?と思っちゃいますね。
とはいえ、Matinaのバンドにはなかなかないグルーヴ感はさすがといったところ。
14. Syndrome -Sad Mask
トリを飾るのは我らがKISAKI神が務めるSyndromeの代表曲!
この楽曲は第1期編成のものなので、Vo.は龍夜氏。
オムニバス「FUTURE INVASION DREAM 1」ではサビの高音を女性vo.に歌わせるという暴挙に出ていますが、今回はがんばって自分で歌っています。えらい!
KISAKI節全開のクッサクサの泣きメロがこれでもかというくらい詰め込まれており、神。
曲名にMaskって入ってるし、コロナ対策でマスクが買えない時はこのCDを顔面に貼り付ければ良いと思います。
以上が作品の感想です。
Matinaのバンドを知るには最適だと思いますし、これで興味が出たバンドの音源を集めてみるのもまた一興かと。
コテ系一辺倒の作品かと思いきや、白系あり、メタルあり、パンクあり、ラブライブありの意外とバラエティに富んだ闇鍋で、色々な味わいが楽しめる美味しい一枚ですのでオススメ。
まあ、鍋のベースがコテ系というドロドロしたヤバイ地獄みたいなスープなのですが……
それでは、さようなら。
〈おすすめ曲〉
Zephyr -久遠の月