悲観停止

幾千の星空の下 夜露は無情に光る

一生のお願いだから、babysitter『空しい空の空』を聴いてください。

皆さんは、”新潟”と聞いて何を思い浮かべますか?

 

そうですね。

 

名古屋ですね。

 

「は?」と思われた方、これには理由があるのです。

 

LastierやL'luviaなど、新潟はV系が盛んだった地方の一つなのですが、特に90年代名古屋系の影響を受けたバンドが多く、名古屋の衛星都市と言っても過言ではありません。

 

その中でも今回ご紹介するbabysitterはその特徴を色濃く反映しています。

 

彼らが唯一アルバム形式で残した音源が『空しい空の空』。

 

ジャケはこちら。

 

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いや、これは決してCD屋さんの仕切りとかに使われるダミーのやつではありません。

 

こういうデザインなのです。ちなみに裏面まできっちり真っ白です。

驚きの白さ!

 

デザインしたのは同じく新潟名古屋系の雄、D'elsquelのボーカルであり、9GOATS BLACK OUTやHOLLOWGRAMでも知られるryo氏なんだとか。

 

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側面も非常にシンプル。パッと見では気づきにくいので、CD屋さんで探すのに難儀します。

珍しいキノコみたいなもんです。

 

 

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歌詞は折り込み型になっており、中身もアー写と歌詞だけなので余計な装飾は一切なし。

引き算の美学がそこにあります。(低予算で済むし)

 

曲数は8曲(1st、2ndプレス共に)

1. 黄黒イ斑

2. 痙

3. 攣

4. trance

5. バラバラの手紙

6. 瞬き

7. 死角

8. 空(1stプレス)、空しい空の空(2ndプレス)

 

1stプレスと2ndプレスで最後の曲が異なるという、ヴィジュアル系の悪いところが前面に出ています。

 

1. 黄黒イ斑

 イントロを聴いただけで全てがわかる、アングラな名古屋スタイル。

変拍子を多用し、その中にキャッチーなメロディをねじり込んでくる音楽性はインディーズながらレベルが高いです。

あとボーカルのnigu氏の歌い方を聴けばわかると思いますが、めちゃくちゃLaputaのaki氏の影響を受けていますね。

語尾の母音を強調した歌い方はクセのカタマリ。カタマリノエゴ。

 

2. 痙

 前曲から繋がっており、Merry Go Roundのようなボソボソ低音ボイスを繰り返すのみの40秒ほどのトラック。

そのまま次の曲に橋渡しをする役割ですね。

 

3. 攣

 「ヴァ〜」というラーメン食った後のゲップみたいな声を出したと思ったら、プログレッシヴかつノイジーな疾走ナンバーがスタート。

同じフレーズをループする曲調なので、ライブではバンギャを暴れさせるのを想定して作られていると思います。

前の曲とセットで「痙攣」という曲なんだと思います。

 

4. trance

前の曲とは打って変わってゆったりと進行するミドルチューン。

ベースの音とたまに入ってくるクリーンギターだけの少ない音数で進み、ボソボソとボーカルが歌うので、初聴では「なんだこりゃ?」と思うのですが、

終盤で一気に流れが変わります。

一気に音数が増え、メロディアスなサビが怒涛のように押し寄せてくるので、それまでのドロドロとしたパートとの対比で開放のカタルシスを感じ、滝のように涙が溢れてくることは必至。

僕は初めて聴いた時KIZ-ETUしました。

 

5. バラバラの手紙

これは特にLaputaっぽいですね。

眩めく廃人からメジャーデビュー直後ぐらいのアルバム曲に入ってそうな感じがします。

サビの後に大サビを乗せてくるので、僕みたいなオタクは一瞬で大好きになっちゃう。

 

6. 瞬き

これも王道の名古屋系疾走ナンバー。

前のアングラかつ難解な曲が続く展開を、『trance』を皮切りにメロディアスな王道ナンバーを連続させることによってアルバム後半も失速しないように計算されている気がします。

とはいえ、この曲にもしっかり変拍子を取り入れていますし、それでいて全体としてはキャッチーな曲に仕上げているので最高。

 

7. 死角

デモテープ曲の再録。

 

「かごめかごめ」の童謡になぞらえた部分とかは鳥肌もので、不気味さが際立っています。

名古屋系のバラードのイメージが濃縮されている曲です。

黒夢とMerry Go RoundとLaputaをブレンドして、新潟という土地で醸した日本酒のような味わいがあって最高。

 

8. 空(1stプレス収録)

1stプレスでは「カランカラン……」という効果音がなるだけの10秒もないトラックで終了。 

 

8.空しい空の空(2ndプレス収録)

 2ndプレスにのみ収録されているこのラストトラックですが、babysitterの真骨頂とも言える名曲。

Laputaナイズドされたヘヴィかつキャッチーなリフ、akiっぽいボーカルなど、

新潟名古屋系のアングラな部分は残しつつも、それによって引き立てられた美メロが胸に突き刺さります。

初めて聴いた人は、

「なんでこれを2ndプレスにしか入れなかったんですか!」

とガチギレしてしまうことでしょう。最初に1stプレスを買った僕がそうでした。

 

というわけで、ここまで読んでくださった方はわかると思いますが、

絶対に2ndプレスを買ってください。

 

1stプレスを聞くと実質的なラストトラックが『死角』になってしまうのですが、もちろん名曲なもの、ダークなバラード曲なので、余韻に清涼感が欲しくなってしまうのも事実。

表題曲『空しい空の空』があるか無いかでかなり印象が違うアルバムになるのでは無いでしょうか。

 

とはいえ、どちらのプレス盤でも言えるのですが、間違いなく一般ウケする感じではないのにめちゃくちゃ聞きやすいという、絶妙なバランス感覚で構成されたおり、非常にオススメ。

「名古屋系の名盤は?」と聞かれたらこれを1つとして挙げてしまうことは間違い無いでしょう。

新潟だけど。

 

そのため、中古CD屋さんで見つけたら絶対に買うべきです。

しかしながら、ジャケが真っ白なため非常に見つけづらく、中古CD屋さんの棚を舐めるように全部見る不審者になることは避けられないでしょう。

 

さらに、見つけたと思ったら「空しい空の箱」(棚を仕切る用のダミー)だったりするので、気をつけてください。

 

それでは、さようなら。

 

《おすすめ曲》

8.空しい空の空

間違えて1stプレスを買っちゃった方もこれ聴いて二重に中古屋さんに金を落としましょう。

www.youtube.com