悲観停止

幾千の星空の下 夜露は無情に光る

インディーズ期のラクリマやファナが楽しめる『Cry-Max Pleasure Super』

ヴィジュアル系のオムニバス……

 

一言で例えるなら、それは闇鍋

 

「ウワッ、なんじゃこりゃ」というポンコツ音源もあれば、「無名だけどこのバンド好き」「アルバムとしての出来もいいな」など、意外な発見ができるのが魅力。

どんなジャンルのオタクでも、そういうのを求めて、一つのバンドの音源だけでなくオムニバスアルバムを漁り出す時期って訪れますよね。

 

そんなオムニバスアルバムの中でも、特に好きなこちらを紹介。

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Who's Next

『Cry-Max Pleasure Super』

〜Loud, Trance and Violence for Extacy〜

 

(曲名/アーティスト名)

1. VICE NEVER DIE/ MAZOHYSTERIA

2. Mobius〜メビウスと哀星〜/ FANATIC◇CRISIS

3. See Saw/ CASCADE

4. 終末/ 雫…

5. ひび割れた鏡に映った私を殺した後…/ La'cryma Christi

6. COOL DESERT TOWN/ SLIDE RARE

7. ZINGARA/ Zedekiah

8. U.K. JUNK STYLE/ Lipstick Guys

9. AFTER IMAGE/ AFTER IMAGE

10. 枳殻という家/ SCARE CROW

 

1995年に発売された、当時インディーズシーンで活躍していたバンドを集めたオムニバスです。

ラインナップを見れば、La'cryma Christi, FANATIC◇CRISIS, CASCADEなどのメジャーデビューを果たすバンドや、雫…、AFTER IMAGE、SCARE CROWなど、90年代V系オタクなら誰でも知ってるラインナップが目白押しですね。

 

1. VICE NEVER DIE/ MAZOHYSTERIA

MAZOHYSTERIAは、東京を中心に活動したアナーキストレコード所属のバンドで、のちに妃阿甦やTHE DEAD P☆P STARSに所属するRuiji氏、emmureeでも知られる遥氏が所属していたことでも知られます。

アナーキストと聞くだけで「あっ……(察し)」となりますが、まさに想像通りのパンクに爆走するスタイル。

「悪徳はいつまでも、お前と俺の胸の中にィ〜」と出だしから叫ぶで神。なぜかカタコトっぽいので笑いを誘います。

サビで入るクリーンギターが哀愁のあるフレーズを奏でていて好きです。

 

2. Mobius〜メビウスと哀星〜/ FANATIC◇CRISIS

「全国民が4組のうち1つには絶対ハマっている」という意味でヴィジュアル系四天王と呼ばれた4組のうち、名古屋系を代表する彼らの、デモテープでしか聴けない音源の再録。

デモテープ時代の曲なので、諸賢がイメージされる名古屋系のイメージに違わない、暗くジメジメしたミドルテンポナンバーです。

太陽の虜ぐらいの、ソフビに移行する前に正統派名古屋系をやっていた時代を味わえる貴重な史料ですね。

 

3. See Saw/ CASCADE

CASCADEといえば、テクノサウンドを多用し、vo.のTAMA氏の爽やかな歌い方が特徴的なバンド……というイメージがありますが、インディーズ時代はTHE CUREを彷彿とさせるUKロックに近いことをやっていたようです。

この曲は中でもポップに感じさせるメロディアスな曲ですが、このオムニバスアルバムがメジャーデビュー半年前にリリースされているので、そこを意識して作られていると思います。

 

4. 終末/ 雫…

バンド名の癖が強すぎることであまりにも有名な名古屋系バンド、雫…のEP「月が闇に翳るとき…」に収録されている曲の再録。

名古屋系の中でもビートロック的なサウンドで、歌謡曲のメロディに名古屋系のダークさを織り交ぜているので大好きなバンドなんですが、

今回のラインナップの中でも特にポンコツ感が強く、押されがちに感じます。

アレンジを変えてるので聞きどころが多いけど、フツーにEPのバージョンの方が良かったんじゃないかな……

 

5. ひび割れた鏡に映った私を殺した後…/ La'cryma Christi

「全国民が4組のうち1つには絶対ハマっている」という意味でヴィジュアル系四天王と呼ばれた4組のうち、オリジナリティやテクニックに特に優れていたラクリマ

前身バンドは「STRIPPE-D-LADY」という名前でやっていたのですが、その時代に出したデモテープに入っていた曲。

2012年の再結成時にも披露されたことでも余りにも有名ですね。

このオムニバスの中でも屈指の楽曲クオリティです。

雫…の曲に比べて一気にクオリティが上がりすぎるので、高低差で耳がキーンなる。頭キーンになればいい。

サウンドとしては白系ですが、オリエンタルな雰囲気も微量に感じられ、後の「white period」などにも繋がる名曲です。

この曲のためにこのアルバムを買うの、アリだと思います。

 

6. COOL DESERT TOWN/ SLIDE RARE

SLIDE RAREはSilver~Roseのvo. YOUMAY氏が結成したバンド。

Silver~Roseに比べてメタル色が強く、攻撃的なサウンドに非常に合っているボーカルだなあと思います。

ライブで「うぉっおっおっお〜」って一緒に合唱したくなりますね。絶対楽しい。

 

7. ZINGARA/ Zedekiah

SLAYER直系のスラッシュメタルが始まるので面食らいますが、なんと女性ボーカルのバンドらしいです。

その編成の異色さもさることながら、目まぐるしく変化する展開、リフがめちゃくちゃかっこよくて、今作で初めて知りましたが非常に得しました。

ショートバージョン?なのが残念なので、音源が欲しい……

 

8. U.K. JUNK STYLE/ Lipstick Guys

MAZOHYSTERIAと同じくアナーキストレコード所属のバンド。

前曲のインパクトに押されてしまうので印象が薄い……

 

9. AFTER IMAGE/ AFTER IMAGE

Moi dix moisで活躍されるSeth氏がやっていたバンド。

序盤から、

やったあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

とガッツポーズしてしまうこと間違いなしの100均クラシックシンセと、この世でも最もカッけえイントロが胸を打つ。

アルバム『黒い結晶』ver.よりも聴きやすいアレンジになっています。

伝説の河原定点カメラ撮影PVがあまりにも有名ですが、そんなのよりこっちを聞いて欲しい。

激安シンセとクサクサメロディとスピードメタルな疾走感が堪りません。

 

※伝説の河原定点カメラ撮影PV

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10. 枳殻という家/ SCARE CROW

ヴィジュアル系の中でもプログレッシヴすぎる展開、独特すぎる世界観で伝説として語り継がれているバンド、SCARE CROW。

最早その音源は10000円以下で買うことはできませんが、その価値があるクオリティです。

90年代V系のプレミア音源って価値とクオリティが合ってないことがほとんどなのに

そんな彼らは95年に解散してしまうのですが、最後に出した音源がこのオムニバスにのみ収録されています。

変拍子を多用したドラム、浮遊感があり展開を次々と変えていくギター、フレットレスでうねりまくるベース、それらを上手くヴィジュアル系の枠組みにまとめ上げているいずみ氏のボーカル、どれをとっても唯一無二ですね。

完全にやっていることが、ほぼ同時期のプログレッシヴメタルバンドCynicの名盤『Veil Of Maya』に近いんですよね。

多分その当時は知られてなかったであろう最先端のメタルに日本のインディーズバンドが追いついていたってところがすごい。

そして、この曲のヤバイところは、本編自体は3分もせず終わってしまい、その後5分ぐらいずっとアンビエントが流れる点です

オリジナルアルバムならまだしも、聴きやすさを求められるであろうオムニバスアルバムで普通そんなことする?

尖りすぎた個性と、これをOKした企画者の長澤智典氏がすごい。

 

というわけで、これが『Who's Next "Cry-Max Pleasure Super" 〜Loud, Trance and Violence for Extacy〜』の全容です。

名前長ッ!

「個性あふれるバンドだけを集めた」とライナーノーツで長澤氏は言っておりますが、それに違わぬ多種多様なラインナップで、聞き飽きずに最後まで楽しめます。

 

こういうオムニバスで最後まで楽しめる奴って中々ないので貴重です。

新しいバンドの開拓もできる上に、メジャーバンドのインディーズ時代を知るという史料的価値も十分にある一家に一枚的な作品だと思います。

 

個人的なオススメはLa'cryma Christi, Zedekiah、AFTER IMAGE、SCARE CROWです。

特に後者2つは1000円代で買うことのできる作品は多分このアルバムだけだと思うので、もし見つけたら家を売り飛ばしてでも買え!

 

《おすすめ曲》

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